トップページ > 最新情報 > BSE発生から10年

最新情報


BSE発生から10年

 2001年9月10日に日本で初めて牛海綿状脳症(BSE)が発生してから10年。感染源とみられる肉骨粉の利用を禁止した結果、発生事例は減少し、09年1月の36例目を最後に確認されていない。農水省も「BSEのリスクは管理できるようになった」(動物衛生課)とみる。都道府県が行う全頭検査は見直しを提起する声がある一方、安全・安心の確保の為に必要との意見も根強い。13年1月以降の清浄国認定を節目に、BSE対策のあり方が議論になる可能性もある。

--

 国内初のBSE感染牛が確認されて以降、牛由来の肉骨粉の輸入、飼料・肥料の利用の禁止、国内で発生するモノは焼却することになった。飼料規制の結果、日本のBSE発生は06年の10頭をピークに減少、08、09年は各一頭となり、飼料規制実施直後の02年1月より後に生まれた牛は感染が確認されていない。感染牛の流通を防ぐ対策では、と畜時のBSE検査と特定部位の除去がある。現在、21ヶ月例以上の健康牛と、24カ月齢の死亡牛は国が検査。その他の食用牛は都道府県が全頭検査し、これまでに1200万頭以上検査している。

---

世界に目を向けてみると、飼料規制により1992年の37,316頭から2010年には37頭まで発生件数が減ったことによりBSE検査対象を絞る動きがあり、一定レベル以上のBSE対策を行う国に限り、30か月齢超としていた検査対象を09年から48カ月齢に、11年から72カ月齢超まで引き上げられていることがある。

--

飼料規制などで成果が上がり、リスク管理が大きく前進した我が日本においても、今後上記のようなBSE検査対象を絞る動きへの見直し論が出るだろう。産業動物の獣医師が不足する中、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど取り組む課題は増え続け、検査費用の負担だけでなく、全頭検査に獣医師の手間がかかることも課題となっている。

その中で、消費者に対しいかに安全・安心を伝えていくか、そのための検査活動とは一体何か?清浄国認定を目前に控え、BSE対策の有り方が課題となる可能性は否定できない。