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熊本で鳥インフル 拡大防止へ11万羽を殺処分

 熊本県は13日、同県多良木町の養鶏場で鶏が大量死し、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性となった6羽を遺伝子検査した結果、2羽から強い毒性を持つ高病原性鳥インフルエンザH5型ウイルスが検出されたと発表した。県は感染拡大を防ぐため、この養鶏場と、経営者が同じ同県相良村の養鶏場で計約11万2千羽の殺処分を進めている。

 熊本県の蒲島郁夫知事は14日午前、殺処分作業や消石灰の輸送で陸上自衛隊第8師団の派遣を要請。午前8時までに相良村の殺処分は終了し、多良木町の残る2万6千羽の処分と埋却を県の職員約400人と自衛隊員約200人で進めている。

 農林水産省や県によると、多良木町の養鶏場で12日から13日朝までに約1100羽が死んだ。県は確定検査のため、検体を国の動物衛生研究所(茨城県つくば市)に送った。確認されれば、国内の養鶏場での鳥インフルエンザの発生は2011年3月の千葉市以来で熊本県内では初めて。

 両養鶏場から半径3キロ以内の養鶏農家が飼育する約4万3千羽の鶏と卵の移動を制限し、半径3~10キロの養鶏場で飼う約39万8千羽と卵の外部への搬出を制限した。

 政府は13日、首相官邸で菅義偉官房長官や林芳正農相が出席して関係閣僚会議を開いた。菅氏は安倍晋三首相からの指示として(1)情報収集の徹底(2)関係省庁が連携して防疫措置を迅速に実施(3)国民への正確な情報提供――を各省庁に要請。政府が一体となって感染拡大防止のために万全の対応をとることを確認した。

 農水省の有識者会合で小委員長の伊藤寿啓鳥取大教授は記者団に「(農場から)比較的早く報告があり、二次的感染が広がる事態はそれほど心配していない」との見方を示した。菅官房長官も14日午前の記者会見で、感染拡大について「報告を受けていない」と述べた。

 熊本県は移動・搬出制限区域を出入りする全ての畜産車両や一部の一般車両について、人吉インターチェンジ(熊本県人吉市)など県内11カ所で消毒作業を開始。「他県や他地域への感染を封じ込める」として、14日以降、消毒地点をさらに数カ所増やす方向。

 県は14日の記者会見でウイルス感染の原因について「国内にはないウイルスなので、韓国など国外から渡り鳥の野鳥がウイルスを運んだ疑いがある」と発言。県内での死んだ野鳥の捜索活動にも乗り出している。

 熊本県の鶏肉用ブロイラーの飼育数は約388万5千羽(104養鶏農家)で全国8位、採卵用鶏は約325万5千羽で25位(130養鶏農家)。

日本経済新聞ウェブ版 4月14日号より抜粋)