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BSE対策規制見直し

安全性確認進む牛由来原料
食品化学新聞 2014年10月2日号より抜粋)

 牛海綿状脳症(BSE)に係る牛由来原料の規制見直しが進んでいる。厚生労働省は8月27日付でBSE発生国の牛骨・皮を原料とするゼラチンおよびコラーゲンについて、9月11日付で牛由来タンパク質(牛肉骨粉など)を養魚水産動物飼料の原料として利用することのリスクについて、それぞれ食品安全員会に評価依頼を行った。世界各国で飼料規制を中心としたBSE対策が進み、BSEの発生頭数はピークとなった1992年の3万7316頭から、昨年は4頭までに減った。BSE発生国からの牛肉の輸入についても、アメリカ、カナダ、フランス、オランダからの輸入が認められている。わが国においては、昨年5月に国際獣疫事務局(OIE)が定めるBSEステータスの最上位である「無視できるBSEリスク」の国と認定され、BSE対策の妥当性・有効性について、国際的な検証に基づく評価が得られている。
 
 そのようななか、食品安全委員会は9月24日、プリオン専門調査会を開催し、BSE対策におけるゼラチン等に係る規制の見直し及び牛肉骨粉等の養魚用飼料としての利用について審議が行われた。ゼラチン・コラーゲンについては、①牛頭部の皮の特定危険部位(SRM)からの除去、②BSE発生国の牛皮由来のゼラチン・コラーゲンを摂取した場合のリスクは無視できる、③牛骨由来については、30か月齢超の頭部および脊柱を含まず、脱脂・酸による脱灰、酸もしくはアルカリ処理、ろ過および138℃4秒以上の加熱殺菌が行われているものであればリスクは無視できる、と評価を取りまとめた。評価の根拠としては、そもそも牛の皮には異常プリオンタンパクが蓄積しないことに加え、前述の製造基準を満たしていれば、異常プリオンの感染性が減退することが確認されている。輸入できるのは、牛肉の輸入が認められている評価済みの国に限られ、現状では前述の4か国となる。

 牛肉骨粉等の養魚用飼料への利用については、SRMを除く部位を原料としていること、牛の腸管経由でBSEプリオンが侵入・増幅することは困難で、BSEプリオンが増幅した魚を人が食品として食べる可能性は極めて低いと評価されたことが根拠として挙げられている。飼料の製造業者においても、原料や製造ラインの区別と帳票の添付の義務付け、養魚以外の家畜に給与することの禁止、関係事業者・牛農家への立ち入り検査実施などが交差汚染防止の管理措置として行われる。本件に関しては国内牛を原料としたものを対象としているが、海外からの要請があった場合には適正な評価を行い、対応される見込みである。現在養魚用飼料の原料は魚粉が主体で価格が高く、今回の規制見直しで改善が見込まれる。

 今回の規制見直しは、日本が先行しているわけではない。アメリカ、カナダ、オーストラリア、OIEにおいても科学的根拠に基づいて評価が行われ、ゼラチンや牛を除く豚や鶏、養魚用飼料としての利用が認められている。ゼラチンにおいては、牛骨由来製品には物性におけるメリットがあることから、品質や物量の面からも原料の選択肢が広がることは歓迎すべきことである。