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セシウム汚染牛肉の取扱い問題はBSEに続く行政ミス

BSEに続く行政ミス。肉牛農家の苦境、どう対応するのか?

稲わらのセシウム汚染で肉牛への汚染が拡大してしまった。福島第一原発周辺の自給乾牧草などでは汚染問題で使用禁止などの指導はあったが、稲わらに関しては警戒外という状況が続き、今回の牛肉汚染問題に繋がってしまった。

過去、BSE問題では欧州からの汚染懸念情報を農水省が無視したことで国内汚染を拡大させてしまった。今回も同じ轍を踏んだようである。政府は原発事故が放射能を広範囲に飛散したことを把握しており、当然、収穫後の野天保管していた稲わらが汚染したことは十分想定できたことであったが、牛肉汚染が表面化するまで見逃してしまった。福島周辺の稲わらは広範囲に販売されているため、今後汚染の拡大が懸念されている。

また、今回の汚染問題で牛肉に対する風評被害も拡大している。和牛のA4などはすでにピークの半値以下に落ち込んでおり、肥育農家を直撃している。特に、牛肉が汚染された農家はある程度の保証があるだろうが、風評被害で価格下落に対する保証は期待できないだけに深刻である。

更に、今回の稲わら汚染で稲わら不足も深刻化しそうである。絶対量不足を反映して中国産稲わら価格などが上昇し始めている。一部では麦わらなどで代替えも検討されているが、稲わらに全面的に代替え出来る乾牧草は無い、依然として稲わらの輸入先を中国など特定国に限っているが、今回の非常時だけに豪州産や米国産の稲わら輸入も検討する必要が緊急課題ではなかろうか?

(飼料通信 2011年7月20日 第3594号より抜粋)