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EU豚肉輸出増で豚価3月後半から急上昇

農畜産業振興機構の海外情報によると、EUの豚価が3月後半から急上昇している、と次のように伝えている。欧州委員会は5月8日、欧州連合(EU)の直近(4月29日の週)の平均豚枝肉卸売価格(注)が、先週から0.3%高の100キログラム当たり170.8ユーロ(2万1521円)であったと発表したが、これは4週前と比較すると6.9%高となっている。
(注)同価格は、格付Sクラス(最上位)とEクラス(同2番目)の加重平均。なお、Sクラスが全と畜頭数の6割程度、Eクラスが3割程度(2017年実績)となっている。

EUの豚枝肉卸売価格は今年2月に入ってから上昇傾向で推移し、3月後半からはさらに加速し、13週連続の上昇となった。主要な豚肉生産国であるドイツ、スペイン、デンマーク、オランダを含めほぼすべての加盟国で価格の上昇傾向は強まっているほか、子豚価格も4週前比10.4%高の1頭当たり56.2ユーロ(2017年実績)となっている。

欧州委員会が4月に公表した短期需給予測によると、2019年のEU域内の豚肉生産量は前年並みとされている中、価格上昇の要因の一つとして、中国での発生が続いているアフリカ豚コレラ(ASF)の影響による同国向けの輸出需要の増加が考えられる。

中国はEU域内向け輸出の4割近くを占める最大の輸出国であるが、EUの1~2月の中国向け豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同期比15.3%増となっている。なお、EUのEU域外向け全豚肉輸出量も同8.8%増と増加している。

一方、現在のEUの豚枝肉卸売価格は一昨年同期比では下回っており、1~2月の中国向け輸出量も一昨年と同水準で、かつ、短期間の比較に過ぎないため、今後の動向を注視する必要がある。

(飼料通信 令和元年5月17日号より抜粋)