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(視点)穀物需給での中国の影響力

中国でのアフリカ豚コレラの蔓延が止まらない。2019年度は同国の豚肉生産量は前年比で2-3割減少するとの見方が強まっている。同国は世界最大の豚肉消費国であり、飼養頭数も世界一とみられている。しかし、肥育現場の6割が小規模生産者とみられるだけに、まん延対策に有効な手段が取れないとみられている。
ロシアやタイの大手資本が大型養豚場の建設計画を立てているが、何処まで中国の豚生産の回復に貢献できるのかは不明である。

同国での豚の飼育頭数の減少は飼料需要の減少にも繋がる。今年度は年間1億㌧の大豆を輸入するのではとみられていたが、養豚用飼料の需要減少は避けられず、大豆ミール需要も減少するとみられる。このため、既に今年度の同国の大豆ミール輸入は9,000万㌧を大きく下回ると推定され、何処まで減少するかは不透明となっている。

また、飼料需要減少はとうもろこし需要減少にも繋がるのではと見られ、一部では同国から安値のトウモロコシの輸出が出てくるのではとの期待もあるようだが、現状は難しいようである。特に、同国政府はエネルギー源としてのエタノール生産に力を入れ、工場建設に力を入れている。エタノール生産増で発生するDDGを大豆ミールの代替に使用するというプランのようである。

結果的にはとうもろこしは余らないが大豆は余るという可能性が強く、大豆輸入量は大きく減少するのでは、との懸念が一段と強まっている。

(飼料通信 2019年6月19日号より抜粋)