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和牛のおいしさ 甘味系アミノ酸豊富

雌のほうが甘み成分多い

 おいしい牛肉にはうまみ、甘みがある。うまみ成分は赤身部分に由来するグルタミン酸などのアミノ酸が代表的だが、アミノ酸には「甘味系アミノ酸」「旨味系アミノ酸」「苦味系アミノ酸」などがあり、それらが複雑に作用し合っていっておいしさを作り出している。

 また和牛独特の味、深みはコクも関係しており、この代表がイノシン酸。これらのうまみ成分は熟成の間においしさの成分に変化していく。

 和牛を食べたときによく「甘い」と表現されるが、一つの物質が食味の決定要因になることはない。脂肪、タンパク質、グリコーゲン(糖分)はいずれも甘みを感じさせる成分を含み、熟成によって生じたうまみ成分が共存して独特の甘みを感じさせるのだという。苦味はまずさの要因として考えられているが、薄い苦味はかえって甘味を引き立て、コクと感じさせる可能性がある。

 山形県による食肉の遊離アミノ酸の分析結果によると、黒毛和種では圧倒的に甘味系アミノ酸が多く、苦味系アミノ酸が非常に少ないことが判明しており、和牛のおいしさに影響している可能性があるとしている。

 また、雌と去勢でもアミノ酸の比率に違いがみられ、雌の方が甘味系アミノ酸の比率は高く、去勢は雌よりも苦味系アミノ酸の比率が高い傾向があった。さらに肥育期間による呈味成分の変化の試験では、肥育期間が長くなると甘味系アミノ酸が増加することが判明している。

食肉通信 平成22年8月3日号より抜粋